基本でしょう!魚の調理
みなさんのご家庭ではお父さんが魚料理をしていますか?
釣り好きのお父さんなら釣った魚を持ち帰り、魚料理をされるかたもいらっしゃるでしょう。お持ちの包丁は西洋包丁の方が多いと思います。野菜を切ったり、お肉を切ったりするのには何かと便利な包丁だと思いますが、魚料理となるとちょっと違ってきます。
鱗をとったり、硬い骨を切ったり、3枚におろしたりするので、頑丈でかつ切れ味の良い包丁が1本あると便利です。すべての要素を満たした、魚料理には必ず1本は欲しい出刃包丁についてのお話です。
出刃包丁の由来
そもそもなぜ出刃なのかご存知でしょうか?
私も最近まで知らなかったのですが、江戸時代に大阪の堺に腕の良い職人がいたそうですが、その人が出っ歯だったそうで、出歯が作った包丁ということで出刃包丁となったそうです。
そのままのネーミングですね。
私も2014年に堺で作られた出刃包丁を買いました。
出刃包丁の特徴
魚の骨を切るために他の包丁と比べて分厚く重量があります。
西洋包丁と比べると分厚さがわかると思います。
丈夫な刃元は魚の頭を落としてもダメージを受けずに切り落とすことができます。
刃の半分より上でヒレを切り落としたり、内臓を取り除いたり、小骨をそのまま切ってさばくことができます。
切れ味が良いので、肉を切るのにも使われているようです。
この切れ味をだすための仕掛けが、よく見るとわかります。
写真でお分かりのように包丁全体が反っています。
これはあえて反るように製造過程でかまぼこ型の金属の上に包丁を置いて整形しています。
これを樋(ひ)というそうです。
この樋があることで包丁と魚肉の間に空気が入りくっつかないのと、刃先がより鋭角になります。
どうりでよく切れるはずです。
出刃包丁の製造過程
専門家ではないですが、製造過程をさらっと説明します。
素材
2つの素材でできています。
1つは土台になる軟鉄でほぼ100%の鉄だそうです。刃になるのは鋼(ハガネ)とよばれ、鉄に0.8〜1.3パーセントの炭素が含まれたものです。非常に硬いが衝撃にもろく、錆びやすい素材です。
この2つの素材を組み合わせて出刃包丁が作られます。
包丁の本体づくり
製造工程の呼び方は、産地や工房によって若干違いがあるようですが、だいたいこのような工程です。
軟鉄の先端に鋼をくっつけて1000℃で熱し、両方の素材を接着剤で接合し、ハンマーでたたいて圧着します。
粗熱を取るためわらの灰の中に一晩いれてゆっくりとさまします。
地金をなんどもたたいて鉄の粒子を細かくしていきます。
760℃~800℃で熱した素材を一気に水に入れて冷却します。これを焼き入れといい、この工程が最も重要と言われています。ビートたけしさんがときどき「おいらも焼きが回っちまった」とおっしゃってますが、語源はこの焼き入れで、火が回り過ぎるとかえってもろくなることから転じて「老いぼれた」という意味で使われているそうです。
その後、200℃で熱して自然に冷まします。この工程を経ると素材に粘りがでるそうです。
微妙なひずみを調整し研ぎの工程にはいります。
グラインダーなどで荒く削って整形します。
荒く研いだ包丁を職人さんの手で研いでいきます。
化粧研ぎとも呼ばれていますが、包丁の刃の波紋を出す工程です。
刃がまっすぐに入るように調整しながら柄を取り付けます。
この工程で完成です。
包丁の各部名称
包丁は部位によって細かく名称が分かれています。
A:きっさき:刃の先端で、魚の内臓を取り出したり切れ目を入れます。
B:そり:刃の反った部分です。
C:しのぎ:鉄と鋼の分かれ目です。クッキリ見える方が良い包丁らしいです。
しのぎを削るとは刀の戦いで簡単に削れないしのぎが削れるほど、激しいというところからきているようです。
D:刃先:刃の付いた先端部でここで切ります。
E:峰:刃の付いた部位の反対側です。
F:平:文字通り平らな部分のことです。
G:まち:刀身あご部から柄元までの部位で刃はついていないところです。
H:柄:握り手のことです。
I:刃元:刃先の一部ですが、あごよりの所をさします。
良く錆びるので保管にはちょっと気をつかう
買った当時はこんなにピカピカだったのに、4年もたつとかなり劣化しています。
実は一度洗ったままほっておいて、少し錆びが浮いてしまいました。
錆びを取るのに砥石でゴシゴシしているうちに、けっこう小傷もついたりしてくすんでしまいました。
まあしょうがないんでしょうが、キレイに切れ味をいつまでも保ったまま使いたいですよね。
切れ味を保つために時々砥石で研いであげましょう。
研いだ後はかなりよく切れるようになります。
また、水洗いしたあとはしっかり水を切り、布巾やキッチンペーパーなどでしっかりふき取り、薄くサラダ油など塗っておくと錆びませんよ。
出刃包丁のまとめ
釣人必須のアイテムです。
せっかく釣った魚なので、美味しくいただけるように、切れ味するどい出刃包丁できれいにさばいて刺身、煮つけ、姿焼きなどいろいろな料理に挑戦してみましょう。
和包丁の扱いに慣れたら、身卸出刃、あじ切、柳刃など用途に特化した包丁をそろえていくのも、調理方法が広がっていって楽しいかもしれません。
ステンレスの汎用包丁を使っている人は、出刃包丁にかえたほうが良さそうですよ。
ただし魚が釣れないと宝の持ち腐れなんですけどね...